藤圭子さんの「新宿の女」のシングルレコードです。B面は「生命ぎりぎり」。

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北海道を流して暮らす浪曲師と曲師の両親のもとに生まれたひとりの少女は、門付（カドヅケ）の最後の世代として、北の大地を廻ります。
そしてのちに上京し、18歳のときに「新宿の女」で歌手デビュー。
翌年には、園まりの曲を石坂まさをが大胆に歌詞を変えた「圭子の夢は夜ひらく」でさらに大ヒット。

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彼女は、宇多田ヒカルさんのおかあさんですが、美空ひばりや島倉千代子や都はるみの系統ではない、不思議なまでに孤高の演歌歌手として、唯一無二の存在である。

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ばかだな　ばかだな
だまされちゃって
夜が冷たい　新宿の女

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藤圭子は、宇多田ヒカルさんと入れ違いで芸能界を去った。
以降はカジノで稼いだ49万ドルを疑われケネディ空港で没収されたり、宇多田パパとの離婚が話題になったりした。

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そして2013年の夏、藤圭子は新宿の街で自ら命を絶った。

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前時代的な厳しい幼少期を経て、ずっと、アメリカに憧れて、アメリカ人になりたいと願い、ニューヨークに暮らしていた彼女の最期の地は、若い頃に夢を抱いてやってきた新宿だった。

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最初から歌より人間が大きかった彼女は、苦しみの果てに、重たいカラダや運命を超え、歌そのものになったのだ。
…と物語づけることだけが、生きる者ができる唯一の祈りかもしれない。

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誰が泣こうと誰が笑おと
ネオンの町は背中あわせの人ばかり
いいよ　いいのさ
飾った愛などいるものか

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人気者の芸能人が命を絶つニュースを聞くたびに、藤圭子の歌を口ずさんで、私は自らの筋肉と神経が軋むカラダを動かすのみ。

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「東京迷路」という、1986年発売のあまり有名ではない歌も、すごい。

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