鷲巣は麻雀を好きじゃない
鷲巣巌は麻雀というテーブルゲームを好きなわけではない。
鷲巣巌は若いアウトローを殺すのが好きなわけでもない。
鷲巣巌は赤木しげるの血を抜くのが好きなわけでもない。
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自分がほんとうは何が好きかわからない。
子分たちと信頼関係があるわけでもない。
莫大な貯金、巨大な屋敷、政府や経済界への威光、それらは鷲巣巌の自尊心を結局は満たさない。
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「新世紀エヴァンゲリオン」の使徒が人間の心の内面をあらわしているように、「アカギ」の麻雀の牌も博打打ち自身の心だ。
鷲巣巌が見えていないのは、賭け事の勝負線だけでなく、自らの姿。
鏡みたいな透明ガラスの鷲巣麻雀、自らの顔がよく映っているはずなのに。
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赤木しげるは言う。
「自己肯定が、あまりに血肉になりすぎていて、顧みる事ができない!
だから見えない!
鬼には…王には、見えないっ…!
自分の不覚が、見えないっ…!」
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では、鷲巣が好きなものって何なのか?
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