み仏の世界 いざなわれた

み仏の世界 いざなわれた

古い酒屋に貼ってあったポスターを見て、「煌びやかな み仏の世界」という展覧会に、ふらりと入ってみた。

書店と楽器店の上にある展示室で、金井弘子さんという仏様の絵を描くかたの立派掛軸みたいな作品が並んでいた。

最初にあったのは、真ん中に空海がいて、周りにお遍路の御朱印が小さく描いてあった。

「お嬢さん、これは御朱印が書いてあるんですよ」と、ご本人に声を掛けてもらった。若い人があまり来ないからだろうか、少し珍しがられた。

(ぼくは、だいたい、お嬢さんである)

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でもぼくは展覧会はいつも落ち着いて見ることができない。

その場を去ったあとで、反芻されて、理解されていく。

紺色などの背景から、金の線で仏様が浮かび上がっていた。その光がとどく速さは、ぼく自身の心と連動する。

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仏は、神とは違うんだなと思った。

神様は、さまざまな宗教や神話と、洋の東西を問わずキャラクターで、性格や血縁や物語があるけど、仏様はみんな半眼で笑み、雲に乗り、掌で印をつくり、世を見守り、完全な姿だ。

つまり、神は人間に近く、仏は概念そのものだ。アマテラス様やイエス様には共感できるけど、如来様や観音様はもう完全な光なのだ。

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み仏は、だいじだ。

余計な批評・思想・哲学は、いらない。

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