自由な奴
シリアスなことって、ギャグなんだ。エヴァンゲリオンイマジナリーだよバカヤロー。
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前回は、スーパー銭湯で岩盤浴の女の人の赤い服を渡されて、男湯の更衣室で女の人の岩盤浴の服に着替えるという、へんてこミラクル状況が起こってしまった。それが女の人の岩盤浴の服であることを、しばらくわかっていなかった。
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ブラをしないで、男声を出しても、あまりに自然な感じと、習得してきたガーリーから、美少年顔の女性のお客様ということになってしまうのだ。
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僕は、性染色体異常の男の子のカラダで生まれ、ずっと長いあいだ、ショートカットのボーイッシュな美少女として生きてきた。
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しかし、ついに芝居の屋台崩しのような人生の転換期が訪れた。
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「僕、男の子…なんです。アハハ」という台詞が、アニメや漫画ではなく、現実の世界で発せられたのである。そうして私は、青い岩盤浴の服を受け取った。
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まさか、人生でこれを言うときが来るとは予想だにしていませんでした。ずっと、自分は女の子なのだと社会に言ってきたのに。
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神経難病を治癒するために、性同一性障害的価値観をコペルニクス的転回で度外視して、むちむちしたアンドロギュヌス的な肉体とAカップおっぱいを晒して、しかたなく頑張って、男湯のサウナに入っている僕を、神々や天使たちは祝福しております。
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男湯にしか入れないから男湯に入っただけ。青い岩盤浴の服を着ただけ。
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僕は女の子。そして女の子経由の男の子、つまり精神が神に近い状態。それは何ですか?アイドル。そう、僕が、私が、アイドル。
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もちろん結局、ストレスがあるから、ゆったりできない。人の世は、愚かに出来ている。
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でも、僕は自由なんだ。
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高田渡が永山則夫の「自由な奴」という詩を歌にしている。
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