ストックホルムの街角でブルースを

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高田渡のヨーロッパ紀行エッセイ。

文体も観察眼も面白い。笑いとシリアスさが同時にある。

幼い頃に故郷を喪失した高田渡は、異国に昔の日本を求めてしまう。それが切なく、可愛い。

ほんとうは、変わりたいと願い続けた人だった。飄々とした仙人なんかじゃなく。

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「パリは物価が高くて、汚くて、きっと金子光晴さんがいた頃の面影はもうないんだろうと思うし、ドイツはイヤラシイ日本の街を連想させたし、スペインは美しさの中にもちょっと前の日本の姿が残っているように思えました。ただ、はっきりしないままにも、何か踏み台になってくれたような気がします」

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